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HF-PLC Watching Site
2007-10-31
IEEE P.1901の審議状況 -- 道のりは遠い
IEEEでは,PLC (BPL) の標準化を進めています。多くの企業などが提案を持ち寄って議論をし,投票により次の段階に進むかどうかを決めます。HomePlugと松下電器は,PHY層は異なるがMAC層を共通にすることにより両方式の共存を可能にする提案をしていました。
10月30日のBusiness Wireによれば,2週間前にボストンで開催されたIEEE P1901会合で,HomePlug/Panasonic提案は他の提案より多い支持を得た,とのこと。IEEEでは,確か,投票数の70% (75%?)以上を得なければ標準として承認されないとのことなので,標準化への道のりは遠そうです。
2007-10-30
Zyxel Japan PLCアダプタの販売を終了
だいぶ前の話になってしまいましたが,
Zyxel Japanは8月31日をもってPLCアダプタPLA-400の販売を終了していました。
販売開始が6月8日でしたので,わずか3ヶ月の販売期間でした。こんなに短い販売期間では,開発や型式指定にかけた費用を回収することはできなかったでしょう。
さて,PLA-400についても型式指定を
自主的に取り下げたのでしょうか??
自主的か否かを問わず,型式指定が取り消されていたとすれば,それは国が定めたPLC許容値に問題があったということを強く示唆します。
<追記>ネットギアは,型式指定を再取得した製品 (
HDXB101-200JPS) の販売を開始しています。
2007-10-27
これはPLCの屋外利用の提案なのでは?
インプレスの記事によれば,三菱自動車が
高速PLCでネットワークに繋がる電気自動車を第40回東京モーターショーで発表したとのこと。
概念図を見る限り,これは立派なPLC屋外使用になります。
EMCJ研究会 -- PLC技術基準の問題点を指摘
9月21日の電子情報通信学会
環境電磁工学研究会(EMCJ)での発表の
続編が,10月25日に発表されました。
日本のPLC技術基準を満たすアダプタを用いても,下記に示すような多くの問題があることを指摘した発表です。
・
技術基準を満たすモデムを LCL > 16dBのコンセントに接続しても許容値を満たすとは限らない
・PC電源のコモンモード (CM) 電流はCIPR22 ClassBの通信ポート許容値よりもかなり低い
・電力引込み線へのディフェレンシャルモード (DM),CM電流の減衰は-10dB以下 (技術基準を定める基礎となった研究会報告では30?40dBの減衰としていた)
・CMチョークによってCM電流が減っても漏洩電界強度が減るとは限らない
これらを踏まえ,発表では「PLC実用化に当たって,建物や電力積算計による減衰が大きい,また,PCに適用される許容値と同じならば妨害は起きないはずだとして,屋内に限定した意味がない」と指摘しています。
このような問題が顕在化したのは,実用化にゴーサインを出す前に十分な数の実測を行って問題発生の有無を確認しなかった点にあると思われます。
2007-10-18
型式指定取り消しの背景を推測する
平成19年10月4日に,合計18件の型式指定取り消しの告示が行われたことは
既報の通りです。
取り消しの法的根拠についてjr9mfkさんが,「取消しが行われたということは電波法施行規則第46条の5 第1項又は第2項の事由があったことを意味」するとコメントしています。
ここで電波法施行規則第46条の5 第1項・第2項は,
(指定の取消し)
第四十六条の五 総務大臣は、第四十六条の二第一項に規定する指定を行つた型式の高周波利用設備が同項各号に掲げる条件に適合していないため、指定の効果を維持することができないと認めたときは、その指定を取り消す。
2 総務大臣は、指定を受けた者が第四十六条の三第一項の規定に違反したときは、その指定を取り消すことがある。
で,第46条の2 第1項は,
第四十六条の二 総務大臣は、前条の規定による申請があつた場合において、次の各号の区別に従い、当該各号に掲げる条件に適合しているものと認めたときは、当該申請に係る設備の型式について指定を行う。
としてPLCの型式指定を行うための技術要件を定めており,第46条の3 第1項は,
第四十六条の三 前条第一項に規定する指定を受けた者(以下「指定を受けた者」という。)は、次の各号の区別に従い、当該各号に掲げる事項を変更しようとするときは、あらかじめ総務大臣の承認を受けなければならない。
一 誘導式読み書き通信設備
(1) 接続図
(2) 外観
<略>
(四 広帯域電力線搬送通信設備
(1) 第一号の(1)及び(2)に掲げる事項
(2) 搬送波の周波数(搬送波の変調方式がスペクトル拡散方式のものは、拡散範囲とする。)の設計値
(3) 伝導妨害波の電流及び電圧並びに放射妨害波の電界強度の設計値
<略>
となっています。
さて,取り消された型式指定のほぼすべてがUPA方式で,かつ,複数メーカーにまたがる18件も取り消されていることを考えると,取り消しの根拠法令が電波法施行規則第46条の5 第2項である可能性は相当低いと推測されます。すなわち,電波法施行規則第46条の5 第1項に述べるように,
型式指定の条件に適合していないため、指定の効果を維持することができないと認めたことが背景であろうと推測されます。
あくまでも推測ですので,念のため。
02:00:20 -
ohishi -
今月配布された59誌によれば、異議申し立てを回避するための姑息な手段だろう、ということでしたね。
法的には、異議申し立ての対象である機種が型式指定を取り消されてしまえば、申し立ての根拠がなくなるわけですから。
で、(仮に同じものでも)再度型式指定をとれば、とりあえずメーカとしては大手を振って販売ができると。
それで通るのは最終的に総務大臣が判断する異議申立てだけで、電波法施行規則第四十六条の五第4項に基づき当該告示の日前に製造された高周波利用設備に対する効力が残っている以上、同条第1項又は第2項に基づき型式指定が取消されたことをもって、裁判所が「訴えの利益なし」と判断することはないでしょう。
裁判所による指定取消しは、同条第3項に規定する「第一項又は前項の規定により指定を取り消したとき」にあたらず、第4項の適用もありません。
http://law.e-gov.go.jp/html...
コメント2件(追加)
2007-10-12
PLCについては触れず -- 総務省報道発表
総務省は10月12日、来週ジュネーブで開催される
無線通信総会 (Radiocommunication Assembly、RA07) に関する報道発表をしました。この発表では(参考資料も含め)PLCのことには一切触れていません。
9月19日に開催された情報通信審議会でまとまった
RA07への対処を記載する答申の2ページにある総論では
RAにおいて審議される勧告案及び決議案については、我が国としてもこれまで研究委員会での検討に参加し、策定に貢献した成果であることから、我が国の意見が取り入れられているものを中心に基本的に支持することが適当である
としながら、SG6に関連する詳細を記述する章 (87ページ) では、
PLTシステムから放送システムを保護するための勧告案については、各国のPLT運用状況も考慮し、PLTと放送が共存できるような現実的な条件となるよう適宜対処する
としています。無線通信総会で審議の対象となる勧告は少ないし、適宜対処はPLCとIMT-2000の件だけ(残りはすべて支持)なのですから、当然、報道発表で触れるべきでしょう。
9月19日付けで報道発表した概要ではきちんと触れているのに、今回触れないのは
何かあるのでしょうか??
18:49:19 -
ohishi -
情報通信技術審議会答申は勘違いしていますね。「PLTと当該放送システムの共存について現実的な条件となるよう対処する」って、この勧告案では共存条件なんて規定していないはずだけど。
答申にも記載されている研究課題32/6はITUのWebサイトから誰でも無料で参照できますが、決めようとしているのは放送システムの "the interference protection requirements" に過ぎない。
http://www.itu.int/publ/R-Q...
「無線通信システムと電力供給線を使用する高速データ通信システムとの共用」は答申にもあるようにSG1の担当(研究課題221/1)で、仮にそのような内容の勧告案をSG6が起草したとしてもRAまで上がってくるわけがない。
http://www.itu.int/publ/R-Q...
こんな誤解を基にRA-07に対処しても、赤っ恥をかくだけでしょう。
コメント1件(追加)
2007-10-11
ロジテック LPL-TXの「社内基準??」の見直しを公表
10月4日に型式指定取り消し及び再取得の官報に掲載されていたロジテックのPLCアダプタについて同社は,
そのホームページにおいて
この度の認可再取得は、社内基準見直しによるものです。従来の製品も認可を受けて製造、販売していた製品であり、そのままご利用いただいて問題ありません。と公表しています。しかも,従来品と型式指定再取得品との交換にも応じるとあります。
非常に不思議です。
「コモンモード電流値を抑制する方向に社内基準を見直し」したということは、以前の製品を使った際のコモンモード電流が基準値を越えていたと暗に言っていると思います。
国家がお墨付きを与えた製品を販売していたのですから,社内基準など見直す必要はないはずです。問題があったとすれば,国が定めた基準にあったのだと考えるべきでしょう。
2007-10-04
型式の指定の取り消し
本日付の官報(平成19年10月4日付(本紙 第4681号))において,「広帯域電力線搬送通信設備の型式の指定を取り消した件」(総務省告示第五五八号)が告示されています.
#リンク先でダウンロード可能な期間は1週間ほどです.
あわせて「広帯域電力線搬送通信設備の型式を指定した件」(同五五六号)」ならびに「広帯域電力線搬送通信設備の型式の指定を受けた者の名称を変更した件」(同五五七号)も告示されています.
20:34:11 -
jh5esm -
電波法施行規則第46条の5第4項の規定;
告示の効力は、当該告示の日前に製造された高周波利用設備には及ばない。
により,10月3日以前に製造された該当機種については使用しても規則上は問題ありません.
もっとも,この指定の取り消しが同第46条の5第1項によるものだとすれば,そもそも技術基準に合致しない装置だったわけで,それが依然として使えることは釈然としません.
腑に落ちませんねぇ。
電波法施行規則第46条の5第1項による取消しでも同第2項による取消しでも、取り消されてしまえば異議申立ては棄却にするつもりでしょうか?
この手の製品の市場での寿命はせいぜい1年ですから、それで棄却というなら異議申立ての審議にそれ以上掛ければ何でもありになってしまう。
ま、同第4項の規定に基づき告示前製造の設備に指定の効力が残っている以上、取消しの告示が出されたことをもって異議申立て棄却にはできないと解するのが素直な読み方だと思いますが、それにしても迅速に審議してもらわないといけません。
いずれにせよ、取消しが行われたということは電波法施行規則第46条の5第1項又は第2項の事由があったことを意味しますので、総務大臣は指定を受けた者に対し、設備の回収を指導すべきと考えます。
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2007-10-03
松下はHomePlugに合流、三菱は独自路線でIEEE P1901に提案
松下電器は3年前にHomePlugを脱退し(
2005-01-31既報)、CEPCAを立ち上げHD-PLC機器を発売するなど独自路線をとってきたところですが、IEEE P1901ワーキンググループに対してはHD-PLC/HomePlug AV両対応の規格を共同提案するとのこと(
ニュースリリース)。
一方、三菱電機はこれまでのUPA/Opera陣営の主力DS2のチップ採用をやめ、独自方式を開発してIEEE P1901ワーキンググループに提出しています(
CEATEC JAPAN資料(pdf)、
日経コミュニケーション記事)。
HomePlugはニュースリリースでP1901による年内の単一方式採択を予測していますが、無線LANのように互換性に気を遣わず相互接続できるようになるまでには、まだまだ年月が掛かりそうにみえます。
法的には、異議申し立ての対象である機種が型式指定を取り消されてしまえば、申し立ての根拠がなくなるわけですから。
で、(仮に同じものでも)再度型式指定をとれば、とりあえずメーカとしては大手を振って販売ができると。