HF-PLC Watching Site

2010-06-20

6月21日から28日までITU-R WP1A会合

無線システム間の周波数利用の調整やPLCから無線への干渉を防止するための基準(勧告)を作成することなどを目的として,国際電気通信連合(ITU)無線通信部門(ITU-R)のWP1A会合がジュネーブで6月21日から28日まで開催されます。

会合では,各国からの提案文書に基づいて議論が進められます。提案文書の一覧は誰でも見ることができます。日本からは4件の提案文書が出されていますが,4件中3件がPLCに関するものとなっています。このことからも日本がPLCに力を入れている世界の中でも特異な国であることがよく分かります。

今回のWP1A会合へのPLC関係の提案文書は総計23件ありますが,そのほとんどが(現行)PLCは無線システムに甚大な干渉を与えるという懸念を示し,PLCから無線への干渉を防止するための勧告作りでは無線システムをきちんと保護するものにするべきで,PLCの導入のために妥協などするべきではないという意見が大勢を占めています。

その中で日本だけが,「PLCは周囲雑音と同程度まで,つまり,PLCにより周囲雑音を2倍に上昇させても良い」「短波放送にPLCの雑音が重なっていても十分に訓練をしたリスナーなら聴取に問題はない」「(大きな干渉を与える)日本のPLC技術基準を他国に採用させる選択肢の一つにするべき」といった,無線システムを保護するつもりが全くないと取られてもしかたのない意見を出しています。

日本の様々な製品などが世界に通用しないガラパゴス現象ということが言われていますが,無線の世界でも日本政府はガラパゴス化を目指しているのかも?
19:52:18 - ohishi - コメント0件(追加)

2010-06-16

高速電力線通信が広範に利用された場合の影響

英国で編集・出版されているEMC関係のオンライン雑誌にEMC Journalというものがあります。最近出版された巻ではたびたび高速電力線通信による影響に関して述べた記事が掲載されています。

2010年5/6月号には,"Environmental Effects of the widespread deployment of high speed Power Line Communication"という記事が掲載され,その和訳が「高速電力線通信の広範な配備の環境影響」という記事として公表されています。

個々のPLC設備による干渉は多数報告されているので累積効果による影響がはっきり分かるようになるのも時間の問題,という意識が記事から読み取れます。
22:53:41 - ohishi - コメント0件(追加)