HF-PLC Watching Site

2005-10-29

【WPC EXPO】電波法を土足で踏みにじるPLC-J

WPC EXPO 2005のPLC-Jブース、デモ用のPLCモデムが2組4台。どちらもコンセントへのACコードとパソコンへのLANケーブルを」つないでて筐体は熱を持ち明らかに稼動状態。

<img src="WPC2005.jpg">
(長方形の穴に消える2本の黒いコードはノートパソコンの電源。左下の2つの白い筐体がPLCモデムで、黒い平行2線のACコードがコンセントへ。水色はLANケーブルで各ノートパソコンと接続)


<img src="WPC2005n.jpg">
(もう1組のモデム。上の写真のモデムと異なりコンセントはアース端子も使っている模様。パソコンに表示された通信速度は約40Mbps。物々しい通風孔にふさわしく銘板記載「AC100V、0.2A」とは思えない発熱あり。写真提供:ohishiさん)


これ、高周波利用設備の不法設置じゃないのか? ちょうど横にいた客が質してましたが、ACを加圧してないとかコンセントの裏はツイストペアケーブルだとか訳のわからない説明ばかり。ACを加圧してないのにモデムがあんなに熱を持つはずないし、たとえコンセントの裏がツイストペアだろうと表に出ているACコードは平行2線。これが不法でなけりゃ漏洩電波低減実験の体裁繕って許可取った松下電器が馬鹿みたい。

ま、パブコメや電波監理審議会も経た許可方針を恣意的に運用するもんだから、完全になめられているのだろう。>関東総合通信局


ちなみに、昨年からPLC-Jのサイトには言い訳が掲載されているが、全然言い訳になっていないことを指摘しておく。電波法第100条電波法施行規則第44条を読めば、「ケーブル搬送設備、平衡二線式裸線搬送設備」以外で電線路に十キロヘルツ以上の高周波電流を通ずる通信設備は、誘導式通信設備の一部を除きすべからく許可又は型式指定が必要であって、「AC100VにPLCモデムの信号が重畳しない」「デモ用コンセントにはAC100Vを印加していない」はいずれも許可不要の理由にならないことが容易に理解できる。「電力線でない」あるいは「定格電圧一〇〇ボルト又は二〇〇ボルト及び定格周波数五〇ヘルツ又は六〇ヘルツの単相交流を通ずる電力線を使用するものでない」との主張は、型式指定の対象外すなわち許可が必要であることを意味するに過ぎない。

もちろん、平行2線のACコードによる通信はケーブル搬送設備や平衡二線式裸線搬送設備でないことは言うまでもない。

《05-10-30追記》
念のため「言い訳」の関係部分を引用しておきます。

>Q13.WPCのデモは違法ではないのか。
>
>A13.デモ用のPLCモデムは、AC100Vと情報信号を分離する改造しており、AC100VにPLCモデムの信号が重畳しないようにしています。また、デモ用コンセントにはAC100Vを印加していないので、違法ではありません。
(引用元:http://www.plc-j.org/faq.htm#q13)

posted at 17:11:33 on 2005-10-29 by jr9mfk -

コメント

ohishi さんによるコメント

ほとんど詐欺ですよ,これは。ブースを訪れた客は「電力線を通してモデムを動作させる電力を得,同時に通信も行っている」と思いこんでいるのでしょう。AC加圧していないのにモデムが動作するはずはない。
だから日本の企業はダメだっていうんだ。都合の悪いことは隠蔽し,都合のいいことばかり宣伝する。消費者を騙してでも売ろうとする企業に未来はない。
是非パブコメで指摘しよう。「実証実験」の信憑性がほとんど薄らいでしまったことを!
2005-10-29 18:29:26

JL1KRA/1 さんによるコメント

白昼堂々の犯罪行為にあきれて物も言えません。
パブリックコメント中に自殺行為をよくやりますね。何が理由でここまで実用化が出来ないのか、電波環境への気配りや電波干渉を起こさないルール(電波法)を元から守る気はないことがよくわかりました。
2005-10-29 23:32:10

村上健一郎 さんによるコメント

 よくやりますよね。パブリックコメントも何も商品としてもぜんぜん実用の域に達していないんですね。これで雑音電波を撒き散らすというのだから、開発した人の程度が知れますね。
2005-10-30 11:23:21

naka64 さんによるコメント

電波法では「電線路」は定義がないのですが、これは電気事業法関連法令から定義を持ってくるのが筋(「電気事業」も無定義で出現してますねw)ではないかと。
そうなると、「電気設備に関する技術基準を定める省令」第1条第8号から、電力会社設備につながってないのはとりあえず「この号に基づく規制からは」外れると解釈するのが相当に思えます。無論、100条1項2号や101条該当物件に当たるか否かは別の話として。

ただまあ、不要輻射まき散らすのがいいとは思わないですけど。メリケンな発想の設計をするより2種混合ケーブルの方がマシじゃねーのか?とも思いますし。
2005-10-30 13:09:06

jr9mfk さんによるコメント

>naka64さん

そういう、電波法に基づかない省令の定義を持ち込む勝手な解釈という意味を込めて「土足で」と書いたのですがね。

電気設備に関する技術基準を定める省令第1条第17号により、同省令においては屋内(構内)配線を電線路と区別して「配線」と呼んでいますが、電波法第100条第1項第1号を受けた同施行規則第44条では、そのような「配線」を利用するもの、あるいは電力会社設備につながっていないものを含め電波法第100条第1項第1号の設備であるとの前提の下に規定が置かれています。

これは、電波法第100条にいう「電線路」の範囲は電気設備に関する技術基準を定める省令でいうそれとは無関係なことの証左です。
2005-10-30 16:28:41

naka64 さんによるコメント

施行規則44条第2号(1)にしても「屋外に出る」ことが前提でしょう。(2)/(3)はそのままだと無線設備と高周波利用設備の二重規制がかかるものを片寄せしただけのように見えます。
この2つを合わせて「線路」を演繹した解釈をしても、法100条1項2号とバランスが取れてないので違和感があるんですけどねぇ…。
2005-10-30 20:46:36

jr9mfk さんによるコメント

naka64さん
>施行規則44条第2号(1)にしても「屋外に出る」ことが前提でしょう。

違います。法令に書かれていないことを勝手に付け加えて解釈するのが過ちのもと。

地下鉄で用いられている250kHz以下の列車無線(俗に言う誘導無線)やAMラジオの再送信は、高周波利用設備の一種たる誘導式通信設備として位置付けられ、たとえ全線地下の地下鉄で屋外に出なくても、施行規則44条第2号(1)の電界強度限界を超えるものは高周波利用設備の許可を受けて設置・運用されています。
http://www.kanto-bt.go.jp/o...

加圧されていない線路を使えば電気設備に関する技術基準を定める省令第17条の適用は免れますが、電波法第100条の適用は免れません。

#あ、総務省は怖くないけど経産省は怖いと判断してそちらにだけ遵法姿勢を見せたのか?
2005-10-30 21:13:56

ohishi さんによるコメント

どの法令をどう解釈するということより,PLC-Jが何も知らない来訪者を騙した(に近い)ということが問題ですよ。たいした根拠もなく,来年の夏には製品化(販売)できそうだと言ったり,実はツイストペア線経由なのに電力線通信で30数Mbpsでるよ,と実演したり。
犯罪として告発するのなら,告発に耐えるだけの理論武装は必要ですけどね。そうしないと逆にお縄になってしまう可能性もあるから。
2005-10-30 23:51:17

naka64 さんによるコメント

地下鉄だって大量の人が行き交う場なんですから「戸外」と扱われるべきでしょう。
トゥイーターで10kHz超に再生領域をのばしたスピーカーの接続はどうする…なんてことになる方が怖いです。
2005-10-31 04:14:37

jr9mfk さんによるコメント

「大量の人が行き交う場」かどうかなんて法令に書かれていませんよ。

およそ10kHz以上の高周波を扱う以上、漏洩防止を考慮していない電線で「通信」するのは御法度と解すべきでしょう。そこまで気を遣うオーディオ愛好家には当然のことで、何ら負担増にならないはずですしね。
2005-10-31 07:42:12

ex) WYM さんによるコメント

私もWPCでのPLC-Jの展示を見に行きましたが、住友電工の説明員は「UPSから供給しており商用線とは切り離されているので問題ない」と回答していましたが、これではPLC-Jのサイトの回答とは食い違ってしまいますね。どういうことなんでしょうかね。

そういえば、ラインコムが作ったパネルは、未だにアクセス系PLCを実現したくて仕方ないことがにじみ出ているパネルに仕上がっていたので失笑してしまいました。
2005-10-31 08:59:04

ohishi さんによるコメント

AC印加していなくても,UPSから電源供給しようとも,「平行2線の電源線」に450kHzを越える高周波信号を重畳したのだから明らかに電波法に違反している。
繰り返すが,モデムに接続されていたケーブルはイーサネットケーブルと電源ケーブル。PCからの信号はイーサを通ってPLCモデムに入り,電源線を通って通信しているように見せていた。詐欺だよ。
2005-10-31 10:56:35

naka64 さんによるコメント

30日24時で止めとけばよかったのかなぁ…。
UPSなんて電波法の適用に無関係なんですけど。そんな言い訳してんじゃいけませんがね。
全体論で行くのなら電波法101条でも第4条(!)でも景表法でも詐欺罪でも持ち出せるでしょう。
電波法100条でやるのなら。SCSIフラットケーブルやらスピーカーコードやらと今回のPLC-JのWebのいいわけとでなぜ違うのかがある程度は説明になってないとキツいんではないのですか?

「同じだ」と言ってしまったら、話がそこで終わってしまうんではないですか?
それは、望ましいことですか?
2005-10-31 22:10:33

ohishi さんによるコメント

難しく考えることはないんですよ。PLC-Jブースで稼働(?)していたPLCモデムにはイーサネットケーブルと電源ケーブルとしか見えないケーブルしか繋がっていなかった。よって来客は,「電力線通信している」と思いこまされた。実際には「被害」は発生していないので詐欺罪にはならないが,社会的信用を落とすのには十分な行為を働いた。
PLC-Jというのは「そういう」団体だってこと。
2005-10-31 23:10:19

jr9mfk さんによるコメント

naka64さん
>SCSIフラットケーブルやらスピーカーコードやらと今回のPLC-JのWebのいいわけとでなぜ違うのかがある程度は説明になってないとキツいんではないのですか?

国会が電波法第100条第1項第1号で「その他総務省令で定める通信設備」と規定し、法律で列挙した2種類以外に今後出てくるであろう設備の追加列挙を総務省令に委ねたにもかかわらず、総務省が適切な対応をとっていない可能性があることは認めますが、それはSCSIフラットケーブルやらスピーカーコードやらも違反になる可能性があるに過ぎないだけで、それによってふつうの平行2線ACケーブルに高周波を載せる行為が正当化されるわけではありません。

ohishiさんご指摘のとおり消費者への背信行為ですが、販売とは連動しないので景表法違反とか詐欺罪には問われますまい。技適表示はなかったので、実はPLCモデムと見せかけた技適取得のない無線LANだった場合、電波法第100条でなく第4条に違反する可能性は否定しませんけど。

#でも無線LANはあんなに発熱しないと思う。
2005-11-01 01:38:42
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