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2005-12-18

あなたは、Quiet Ruralを知っていますか?

ITU-R勧告P.372-8にいうQuiet Rural(静かな田園地域)とは、どのような場所を指すのでしょうか。オーストラリア主管庁は首都近郊4か所での測定結果をこの10月開催されたITU-R WP6Eに報告しています。

それによると、大ブロック(0.8-2.4ha)に一軒家がある環境でQuiet Ruralとほぼ同じレベル、小ブロック(0.1ha)に一軒家がありショッピングセンターから1ブロック離れ架空電力線がある環境でQuiet Ruralより数dB高いレベル、4か所平均でQuiet Ruralより約5dB(電力比で約3倍)高いレベルに過ぎないとの測定結果を示し、Quiet Ruralのレベルを基準に用いることを支持しています。

確かに、本当にQuiet Ruralの人工雑音レベルの地域はあまりないかもしれませんが、それより数倍高い程度の人工雑音レベルの地域はいくらでもあります。3倍とか数倍というのは大きな違いのように見えますが、ITU-R勧告P.372-8でQuiet Ruralの次のRuralは約20dB(同100倍)高いレベルになります。そこまで過大な値を使うのは問題だからQuiet Ruralでいいじゃないかというのが、一方ではBPLの実証実験も同時に進めているオーストラリア主管庁の見識ですし、各国もそれを支持してPLTから放送業務に及ぼす電界強度許容値を定める新勧告案が作成され、その後開催されたITU-R SG6で合意されています。

なお、オーストラリア主管庁は、中波を含む7周波数ポイントのみの測定値を示しており、スペアナでなく電界強度測定用受信機を用いたものと思われます。測定値の中には外来波の影響によるらしいやや異常な数値も若干ありますが、Quiet Ruralに近いレベルはスペアナでは内部雑音などにより測定が困難ですから妥当な措置ですね。「Quiet Ruralに近いレベルなどあり得ないだろう」との先入観からか、スペアナでしか測定していないPLC-Jの測定値を鵜呑みにした報告書を作成しつつあるどこかの主管庁の研究会とは違います。

posted at 10:57:58 on 2005-12-18 by jr9mfk -

コメント

ohishi さんによるコメント

そのどこかの主管庁が開催した研究会資料には,実際に測定されたQuiet Ruralのデータも示されていたそうですが,そういう都合の悪いデータは目に入らないのでしょうか?
2005-12-18 16:27:08

jr9mfk さんによるコメント

資料9-9かな?
http://www.soumu.go.jp/joho...

共存条件どころか、人工雑音の測定方法ですら合意できない研究会ではその測定値の客観的な評価などできるわけがないでしょうねぇ。それに言及すれば誰かの主観の影響を受けざるを得ない。

人工雑音の測定値は、九州電力、PLC-J、JARL、日本学術会議・国立天文台(連名で1件)の4とおりが報告されていますが、そのうち誰の主観の影響を受けたか、共存条件案を見れば一目瞭然ですね。
2005-12-20 01:33:08

RFエンジニア さんによるコメント

EMCでも最後はレシーバで確認するのが常道です。スペアナのマックスホールドのデータだけで論じるなんて論外です。
2005-12-22 22:49:26
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