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2006-03-07

CISPR委員会 PLC小委員会はもう終了

昨日3月6日に総務省で開催されたCISPR委員会(第17回)及び高速電力線搬送通信設備小委員会(第2回)を傍聴してきました。第1回の同小委員会は2月13日に開かれ設置趣旨などを説明しただけだったのですが,なんと同小委員会はもう終了です。ろくな意見交換,議論は一切なし。CISPR委員会がごく少数の老人による独裁体制になっていることを理解しました。次のステップは,意見聴取だそうです。

 実は,第1回の小委員会で座長である杉浦氏が,何らの意見交換も行わないまま「杉浦を含む4人で報告案を検討する」と宣言し,今回その案を出して,例のごとく,採決してしまったのです。案と言ってもこれまでのCISPR22規格をそのままコピーしただけ。もちろんこの狙いは「これまで存在している規格なのだから問題あるのか?」ということ。

 しかし今回の小委員会ではNHKからの委員が,PLCの変調方式によっては中波帯への妨害の生じ方が異なるはずなので,この案で良いのかどうか確認するべきだ,などと食い下がっていました。これに対し,PLC-Jが抱えるM大学のT教授は「問題があるというのなら具体的に示せ」と反論。それまで会議中に惰眠をむさぼっていたんですが・・・。この方は,また「ADSLが・・・」「通信中と非通信中の区別がつかないのだから・・・(30dB緩い非通信中の規格だけでよい)」。さすがに座長は「緩めるつもりはない。」

 中波帯の放送を保護する目的で制定されたCISPR規格を,そのまま短波帯やVHF/UHF帯(1GHzまで)適用することの無茶苦茶さについては目をつぶって押し通すのは大いに問題です。この点は過去CISPR委員会の某副主査と話し,彼は「問題である」ことを認識しているのですが。

 一方座長は,「CISPRはITU-TやITU-Rに対して参加するように要請しているが誰も出てこない。これはCISPRのsteering committeeでも問題になっている。」と発言。CISPRからITU-Rへの参加招聘状って見たことないんですけどねぇ。連絡文書を交換することはできるのですが,それも見たことがない。ITU-R側から送ってやりましょうかね。

 傍聴していて感じたのは,PLC問題は電波版HIV非加熱製剤問題であるということ。周囲の懸念を「大丈夫,大丈夫」だけで振り払い突き進む独裁の醜さ。その問題を見て見ぬふりをする役所。

 こんなことばかりやっているから,この国はここまで酷くなっているということに気づかないのですかね?

<追記>CISPRにITU-Rから誰も参加していないというのは,事実と異なります。フランスがよくCISPRに参加しており,その審議状況をITU-Rへの寄与文書の形を借りて報告しています。しかし,ITU-RへのCISPRからの連絡文書(リエゾン)はとんと見たことがありません。

posted at 09:23:53 on 2006-03-07 by ohishi -

コメント

暴走 さんによるコメント

・高速電力線搬送通信に関する研究会 座長
情報通信審議会 情報通信技術分科会は
審議体制,既存のCISPR委員会において審議を行うとして、
・CISPR委員会 主査
・高速電力線搬送通信設備小委員会 主任
新たな技術の審議、全て同一人物が責任者ですね。
2006-03-07 17:35:34

sage さんによるコメント

戦争へ向かったときの日本に似てきた。怖い。
2006-03-10 03:35:04
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