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2006-07-02

我が国では死蔵されることになる?! 26MHz(11m)帯

周波数割当計画を見ると、「25670 - 26100 kHz 放送」という周波数帯(波長で言えば11mバンド)がある。しかし、我が国でこの周波数帯を使う放送局というのは聞いたことがない。電離層反射による長距離伝搬が望めず、国際放送はもとより、ラジオNIKKEIのような全国放送にも向かないからであろう。

しかし、世界的には、2003年世界無線通信会議(WRC-03)で決められたDRMというデジタル放送方式の導入により、この周波数帯が見直されている。DRMならばFM放送並みの音質が得られるし、地表波伝搬距離なら80MHz帯に引けを取らない。FM放送と異なり同期放送が容易だから、中継局ごとに周波数を変える必要もない。中波と同じ9kHz間隔で47波取れるという数が日本の都道府県と一致するのは偶然だが(もちろん、地理的に離れれば周波数の繰り返し利用は可能)、県域放送にはちょうど良い周波数帯であろう。

ロンドンではVT Communicationsがサービスを開始したし、仏でもDIGIDIAが検討している(pdf)。しかし、情報通信審議会(CISPR委員会)では、この周波数帯の周囲雑音を約14dBμV/mと見積もりながら、PLCからの妨害波はそれよりも高い18dBμV/mとして許容値を設定した(CISPR委員会報告(pdf)参考資料3 98ページ)。

こんな考え方で進めるようなら、この周波数帯は引き続き死蔵するしかあるまい。周波数の有効利用が叫ばれている中、もったいないことである。

posted at 00:35:19 on 2006-07-02 by jr9mfk -

コメント

電子情報通信学会会員 さんによるコメント

 とは、いいながら、妨害派低減を真面目に勉強している人たちもいるようです。勉強しているふりをしているのか、本気で勉強しているか...私は知りませんが...

http://www.ieee-isplc.org/2...

ただ、ここまで来て、IEEEが見捨ていないのは、何か政治的な力が働いているのか、あるいは100年計画で電力線が張り直されのを期待しているのか...私は知りません。

 ただ、こういった電気の話題にしては極端に政治的な「におい」というか「香り」がするのは面白いというか、そういった特殊系の話題ですね。世間一般から見て電気屋さんは真面目ですが、今回のPLCの話題はそういった意味では「特殊系」な電気の話題でみんなが振り回された。これは間違いないと思います。
2006-07-02 15:03:11

ohishi さんによるコメント

PLCに関するアカデミック研究者は,通信路としては最悪の部類に入る電力線を用いた通信に”真面目に”取り組んでいる方々がほとんど。彼らも所謂PLC推進派のごり押しには辟易している。解決するべき課題が山積している段階では基礎研究をしっかり進めなくてはならないのに,政治力で強引に導入しようとした。目先の利益に目がくらむとこうなるということなのでしょう。この段階で製品を市場に投入しても障害報告がたくさん上がってしまえば回収するしかなくなる。最初に悪評が立ってしまうともうユーザーはつかない。
2006-07-02 20:09:18

匿名希望 さんによるコメント

2006-07-02 20:20:34
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