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2006-09-27

試験に出る国際電気通信連合憲章

今日、全国の総合通信局所在地で行われた、第一級総合無線通信士並びに第一級、第二級及び第三級海上無線通信士国家試験「法規」に、次の問題が出ました。


 次の記述は、有害な混信について、国際電気通信連合憲章(第45条及び付属書)の規定に沿って述べたものである。[ ]内に入れるべき字句の正しい組合せを1から5までのうちから一つ選べ。なお、[ ]内の同じ記号は、同じ字句とする。

(1) すべての局は、その目的のいかんを問わず、他の構成国、認められた事業体その他正当に許可を得て、かつ、[A]に従って無線通信業務を行う事業体の[B]に有害な混信を生じさせないように設置し運用しなければならない。

(2) (略)

(3) 構成国は、また、すべての種類の電気機器及び電気設備の運用が(1)の[B]に有害な混信を生じさせることを防ぐため、実行可能な措置をとることの必要性を認める。

(4) (略)

(選択肢1から5まで略)


残念ながら、PLC推進企業にこんな資格は必要ないわけですね。「実行可能な措置をとる」責任がある主管庁の役人や情報通信審議会や電波監理審議会(審理官を含む。)が知らないと大問題ですけど、情報通信審議会CISPR委員会報告(pdf)や審理官の意見書(pdf)にはまったく見当たらず、憲章について検討された形跡がありません。

#審理官意見書をよく読むと、無線通信規則の改正について論じていますね。

posted at 18:59:46 on 2006-09-27 by jr9mfk -

コメント

ohishi さんによるコメント

PLC研究会のある会の時にこの憲章や[A]を引用して,実行可能な全ての措置を取らなくてはならない,と発言したのですが,なんとARIBの某氏が「cooperateとあるので協力すればいい」との迷誤訳をしてくれ,それにPLC-Jが同意していましたね。

こいつら英語がわかんねぇんだなぁ,と思ったものです。精神的な協力なんてものはcooperateではないのですよ。動かなければoperateにならないのですから。
2006-09-27 20:02:06

jr9mfk さんによるコメント

>ohishiさん
昨年8月18日の第8回研究会ですね。
http://www.soumu.go.jp/joho...

このとき既に、日経ラジオ社は国際電気通信連合憲章第45条遵守を要求していたことがわかります。これに対し杉浦座長が、「海外放送を守らなければいけないとレギュレーション上なっているか確認してください」と事務局に指示していますが、その「確認」は次回以降も行われていません。電監審の意見聴取で総務大臣(指定職員)は、研究会の結論や審議会の答申を得たものであり適切である旨繰り返し主張したと聞きますが、その研究会において、憲章や[A]の適用についての審議が不十分だったということになりましょう。

#あ、今日の試験の正解は、[A]=無線通信規則、[B]=無線通信又は無線業務、です。

だいたい、無線通信規則第29.1号の 'shall coopetare' の助動詞 'shall' が行動を強制する規定を示すことは条約類を読むときの常識であり、精神規定に 'shall' が使われるはずはないんですがね。

それにしても、この議事録は、国際電気通信連合憲章(第45条)、それに規定された無線通信規則(第15.12号、第29.1号)を蹂躙した議論が行われたことを示す意味で歴史に残るものになりましょう。
2006-09-27 20:49:20

ohishi さんによるコメント

>JR9MFKさん
杉浦座長が事務局に確認を求めたのは,私が杉浦座長の疑問 -- 条約上,海外放送を保護しなければならないのか? -- に対し,彼の顔を見ながら頷いたからです。杉浦氏は,私が自信たっぷりに頷くのを見てから,怪訝そうな顔をしながら事務局に確認を求めました。

今回の電監審答申は国際条約違反,即ち,日本国憲法に違反する可能性すらあるのです。
2006-09-27 22:26:09

jh5esm さんによるコメント

電波法第3条というのもありますし.
2006-09-27 22:37:22
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