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2006-10-11

法令遵守がコンプライアンスではない ? パロマ事件の教訓

日経BPの特集で,法令を守っているだけでは所謂Complianceにはならない,とする郷原 信郎氏/桐蔭横浜大学法科大学院教授・同大コンプライアンス研究センター長の講演内容です。なかなか良いことが書いてるので,一度お読みになることをお勧めします。以下は,一部抜粋です。

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「コンプライアンスとは組織に向けられた社会的な要請に応え、しなやか、かつ鋭敏に反応しながら、企業の目的を実現していくことです。したがって法令規則をそのまま守ることがコンプライアンスではありません。」

「本来、法令規則は社会的要請を受けて作られるはずなので、通常は個人も企業も法令を守っていれば非難を受ける必要はないはずですが、日本では法令と社会的要請にズレがあるため、法令を守っていても社会的要請に反することがあり得るのです。」

郷原氏は「過去20年もの間、なぜ法令が事故を防ぐことができなかったのか」と問う。それは事故が起きるたびに、誰の責任かという議論はあっても、原因や根本的な問題の究明は行われなかったからだ。行政も縦割り組織の隙間にこの問題が入り込み、対応しなかった。

日本での違法行為は個人の意思ではなく、組織の利益を目的として行われ、カビのようにべたっとまとわりつく。あるポストに就けば、好むと好まざるとにかかわらず、違法行為に手を染めざるを得ません。

posted at 16:12:30 on 2006-10-11 by ohishi -

コメント

jr9mfk さんによるコメント

元検事の立場では「法令と社会的要請にズレがある」という表現になるのでしょうが、現実には社会(国民)、立法、司法、行政の四者間で意識にズレがあり、それがため違反者があるのに処罰された例がない罰則規定が結構あります。

つまり、官も民も司法判断を避けることにより、法令のPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルが回らず、死人が何人も出てやっと対応するということが繰り返されるわけです。裁判官の資質の問題もありましょうが、検事だって責任重大です。

ところで、「あるポストに就けば、好むと好まざるとにかかわらず、違法行為に手を染めざるを得」ないのは役所も同じですね。しかも、みんな司法判断を避けることにより違法行為が糊塗されてしまう温床が問題です。
2006-10-12 01:27:36
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