HF-PLC Watching Site

2007-02-26

挿すだけではLANは構築できないのに,誤解を増幅する記事が乱立

PLCアダプタの利点は,確かに,(設定済みの)親機と子機をアウトレットに挿すだけで「通信」ができることです。

しかし,「通信ができる」=「LANが構築できる」ではない。ましてや,外部とTCP/IPベースで接続したいとなれば,LAN内の機器にIPアドレスをふったり不正攻撃を防止するためにルータの設定をしなければなりません。コンピュータ用語に不慣れな人々にとって,設定するために読むマニュアルで使われているこういった用語の意味や,なぜ,そのような設定をしなければならないのかがよく分からないためにルータの設定が難しいと感じるのでしょう。

PLCは,ルータの設定が完了しているのであれば,つまり,LANが構築できているのであれば,イーサネット接続が可能な範囲を簡単に拡張できる機器なのです。

海外では宅内PLCは,「Ethernet Extension」として販売されています。つまり既に設定されているイーサネット接続を簡便に拡張するためのアダプタ,という位置づけです。「挿すだけでLANが構築できる」といった間違った宣伝をしているのは,私の知る限り,日本だけです。

最近,IT Mediaでは,使い古されたネタを使ったように見える「挿すだけでLAN」という記事が掲載されています(2月26日の記事)。また,数年前の試験導入でしか過ぎないのにあたかもモスクワ全体で使っているかのように書いている記事(2月23日)も見受けられます(こちらは完全に某社の広告記事ですが)。

PLCマーケットはどの国でも大変小さいのですが,マスコミはどこもそのようなことは報道しません。取材力がないですから,企業からの情報を鵜呑みにした記事を書いてしまうのですね。



posted at 17:50:21 on 2007-02-26 by ohishi -

コメント

Amateur Radio Wiki開設者 さんによるコメント

確かに取材力が無いように見えます。
名物?の実況リンクも平日は100人以上お見えですが、休日はアクセス数がぐっと減ります。
アクセスカウンターでしか状況が判りませんがマスコミと販売企業は必死なのでしょうか?
2007-02-26 19:59:32

jr9mfk さんによるコメント

かぜさんが発見されたものですが、今月のIT Mediaの『PLCは「第3のLAN」たりえるか(仮)』改め『「エンタープライズPLC」のススメ』は、もともとタイアップ広告(分析アンケート600万円、記事2000字140万円×3枠、200 Pixels ×左右 200 Pixelsのバナー広告50万円×2枠。計1120万円)の企画ですからね。
http://www.doblog.com/weblo...

これまでのところスポンサーがついたのは2月23日の住友電工(公称140万円枠)だけのようですし、無理に無茶な記事で埋めなくても良いようなものですが、ページビューを稼いでおけば別の記事(→広告)の営業にも使えるということなのでしょう。

しかし、2月26日の記事最終ページの「PLC導入の決め手は、速度〔無線LAN〕を選ぶのか、あるいは利便性〔PLC〕を選ぶのか、という二者択一ということになるだろう」という結論には大笑い。無線LANだって、業界トップで携帯ゲームからプリンタ、オーディオビジュアルまで対応するバッファローAOSSはじめ、パナソニックコミュニケーションズでいえば「無線おまかせってい」というような、ボタン一発の自動設定が普及しているというのに。
http://buffalo.jp/aoss/inde...
http://panasonic.co.jp/pcc/...

ま、与太記事で成り立っている三流ニュースサイトのみならず、「無線おまかせってい」を擁するパナソニックコミュニケーションズ本社自身、「特に無線LANは、無線の暗号が手入力になってしまいます。そういうことで敷居が高いんだと思うんです。」なんて言ってますから、ある意味公取モノですな。
http://www.mbs.jp/announcer...
2007-02-26 20:25:22
コメント2件(追加)

コメント追加