HF-PLC Watching Site

2007-05-03

累積効果 きれいに見えます!

ロジテックのPLCアダプタ LPL-TX/SはUPA方式,パナソニックのPLCアダプタBL-PA100KTはHD-PLC方式ですので互換性はありません。両方式のアダプタを同時に動作させたらどうなるかを試してみました。

LPL-TX/Sで先にリンクを確立しPCを接続 (ルータ - LANケーブル - LPL-TX - 電力線 - LPL-TX - LANケーブル - PC),その後別のPCを繋ぐためにBL-PA100KTを別のコンセントに挿しました (同じルータ - LANケーブル - BL-PA100 - 電力線 - BL-PA100 - LANケーブル - PC)。後から接続したBL-PA100間のPLCリンクは確立され,DHCPによるIPアドレスの取得にも成功。この時,LPL-TX間ではデータ通信はしていません。

そして,LPL-TXに繋いだPCでGyaoの動画伝送を開始。そしてBL-PA100に繋いだPCで通信速度測定サイトに繋いで速度を測ってみましたが,なんと約500 kbpsしか出ない。LPL-TX側の動画伝送を止めてBL-PA100側PCで通信速度を測ると約2.5 Mbps。LPL-TXを電力線から離し,BL-PA100側PCの通信速度を測ると約12 Mbps。予想通り,方式が違うアダプタは,お互いが電力線上に送出するPLC信号同士が邪魔をしあっているようです。

また,上記の各状態での漏洩電波のスペクトルを取ってみました。使用したアンテナは鉄筋コンクリート造りのマンション外壁から約1mに置いたループアンテナ (AOR LA380) です。感度がよくなり放送波などの狭帯域信号がはっきり見えるようになりました。スペクトルはスペアナ (NEC SpeCat2) で受信電力(dBm)として記録しました。


LPL-TX/S + BL-PA100KT
緑は2つのPLCアダプタが同時にデータ通信をしている時のスペクトル,赤がBL-PA100のみデータ通信をしている(LPL-TXは電力線に接続せず)時,ピンクが背景ノイズレベル。背景ノイズはMIN HOLDで,そのほかはMAX HOLDで測定。

LPL-TX/S with a loop antenna
緑がLPL-TXだけがデータ伝送をしている時のスペクトル。赤は非伝送時(アダプタは電力線に繋がっている),ピンクは背景ノイズです。背景ノイズはMIN HOLDで,そのほかはMAX HOLDで測定。


2つのグラフの緑の線を比較すればすぐにわかるように,2つのPLCアダプタがデータ伝送している時の漏洩電波(上図)は,1つだけが伝送している時(下図)よりも最大12dBほど強くなることが分かります。もちろん,2種類のアダプタを屋内配線のどこに挿すかによって2種類のスペクトルの重ね合わせがどのような分布になるかは変化すると予想されますが,累積効果がはっきり現れました

測定地点が外壁から1m程度という近距離であるので,10m地点での漏洩電波の強度は下がるでしょうけれども,累積したPLCノイズが観測されることは確実です。

<追記>外壁からは約1mですが,家の中心からは約8mの距離になります。

posted at 23:43:42 on 2007-05-03 by ohishi -

コメント

misaki さんによるコメント

PLCアダプタ自体の送信電力が上昇したという事も考えられます。
PLCアダプタは電力線中のノイズ状態を監視しています、通信状態が良好な時に送信電力を抑えたりするAPC(オートパワーコントロール)が付いている可能性が否定できません。送信電力が下がれば漏洩電波の強度も下がります。

なので実際の家庭環境と掛け離れた以下の測定法では漏洩電波の最大強度は測れません、低くごまかす事ができてしまいます。
http://www.soumu.go.jp/s-ne...
2007-05-04 22:22:41
コメント1件(追加)

コメント追加